ASAメールvol.238 2025年7月16日 フードカフェ
八王子駅近く、フードバンク八王子で開催されている「フードカフェ」200円であたたかいご飯と、人とのつながりを味わえるフードカフェ。そこには、誰もが自然体でいられる「居場所」がありました。今回は、そんな場所で出会った心温まる一幕をお届けします。
「笑顔という共通言語」T・S
八王子駅近くで開催されるフードカフェ。そこにはある2人の物語があった。1人は70代のろう者の男性と、もう1人は20代のフィリピン出身の女性。
男性は耳が聞こえず、うまく発語することができない。そのためいつも、手話ができる方に通訳してもらったり、筆談をしたりしてコミュニケーションをとっている。女性はフィリピンから来日して数ヶ月のため、まだ流暢に日本語を話すことができない。そのためいつも、簡単な日本語や英語、スマホの翻訳機能を使ってコミュニケーションをとっている。
あなたはこの2人が、「2人だけで」話しているところが想像できるだろうか?そもそも「2人だけで」コミュニケーションをとることは可能なのだろうか?フードカフェでは、それが私の目の前で起こったのだ。
耳を傾けてみると、2人はこの日の献立だった炊き込みご飯について話しているようだった。男性が右手を口に近づけて、食べる動作を見せる。それに対して女性が「ご飯?」と応答する。そういった一連のやりとりがあったのだが、結局どんなことを話していたのか分からなかった。正直、あまりお互いの言いたいことが伝わっていなかったと思う。でも2人とも、とびっきりの笑顔を見せていた。端から見た私には分からない、2人の心のつながりがあったのだと思う。
手話と英語という、2つの言語を飛び越える不思議なコミュニケーション。たぶん2人の心を通じ合わせていたのは「笑顔」だったのかもしれない。高橋優の『福笑い』を聞いて、そんなことを考えていた。
“きっとこの世界の共通言語は、英語じゃなくて笑顔だと思う”
“理屈ではないところで僕ら、通じ合える何かを持ってるはず”
月末はその月に誕生日の人をまとめてお祝いしているらしい。あ、私ちょうど7月です。お祝いしてくださる人がいるならまた行ってみようかな(笑)。
そして、また2人の心温まるやり取りが見れたらいいな。
「誰かの居場所」T.M
以前ASAメールで取り上げたフードバンク八王子。今回は、毎週火曜日に開催されている、200円で食事ができる「フードカフェ」に行ってきました。
お話を伺うと、フードカフェは、フードバンクの就労支援の利用者さんと卒業生をつなぐ場として始まり、今年で3年目を迎えるそうです。毎月末には、その月に誕生日を迎える方をみんなでお祝いし、ケーキを食べるなど、「生まれた日をおめでとう」と温かい言葉をかけ合う時間も大切にされています。そのお話を聞き、私自身もとても温かい気持ちになりました。この日伺ったフードカフェのメニューは、回鍋肉、差し入れのトマト、採れたてのとうもろこしでした。フードバンクの扉を開けた瞬間からいい匂いが漂い、野菜もたっぷり入っていて、とても美味しそうでした。
フードカフェは「居場所づくり」を目的とした、誰でも来ることができる場所です。一人暮らしの方や、シングルマザーの方など、どなたでも気軽に訪れてほしいそうです。「何かしようと思わなくていい」「気を使わず、ふらっと立ち寄れる場所でありたい」とお話しされていたのが印象的でした。私自身も現在一人暮らしをしており、食事が偏ったり、おろそかになってしまうことがあるので、200円で美味しい食事とたっぷりの野菜が食べられるのは本当にありがたいことだと感じました。
祝日以外であれば年末年始も開いているそうです。毎週火曜日、この温かい場所に、ぜひ居場所を作りに行ってみてください。
「何もしなくていい、そんな居場所」 I.R
このフードカフェの居場所づくりは、今年で3年目を迎えるそうです。始まりは、ある年のクリスマスに手作りのケーキを出したことでした。シングルマザーの方や一人暮らしの方の中には、つい自分の誕生日が疎かになってしまう人もいると思います。そんな話を聞いたスタッフの方が、「生まれた日を当たり前じゃない日として、感謝するきっかけになれば」と考え、誕生月の人がいると、みんなで「おめでとう」と声をかけ、ケーキを囲むようになったそうです。実際に行ってみて感じたのは、とてもアットホームで、無理なく通いやすい場所だということでした。メニューは決まっていても、差し入れの野菜や採れたてのとうもろこしが出てきたりと、あたたかい家庭のような雰囲気がありました。特に印象に残ったのは、「何もしなくていい、浅い関係でいい」という言葉です。居場所というと、誰かと話さなければとか、自分のことを話さなきゃいけないと思ってしまいがちですが、ここでは本当に、ただご飯を食べに来るだけでもいいし、話さなくてもいい。来たいときに来て、帰りたいときに帰っていい、そんなやさしさが溢れていました。中には耳の聞こえない年配の方もいて、手話を使って周りの方とやりとりをしていました。そうした姿を見て、障害のあるなしや年齢、性別、家族構成などに関係なく、本当に「誰でも来ていい場所」なんだと強く感じました。無理なく、自然に人と人がつながれる。そんなこの場所の空気感が、とても素敵だなと感じました。
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