ASAメールvol.229 2024年9月16日

 


戦争が語り継がれていく AY

今回は、今月100歳を迎えた佐藤子之吉(さとうねのきち)さんにシベリアでの抑留生活について取材させていただきました。子之吉さんは、昭和19年の10月に青森県の野戦重砲兵に所属し、シベリアではそろばんをひたすらはじいてノルマ計算をする事務室勤務を行っていたとお聞きしました。私が想像していた暴力的な所ではなく、早く帰るために作業を手伝ったソ連の将校もいたそうです。取材の内容をより理解するために「ラーゲリより愛を込めて」という映画を見るとどのような状況だったのかが分かると教えてくださり、実際に見てみると子之吉さんが仰っていたことが数々のシーンで理解することができ、当時の状況をより想像しやすくなりました。例えば、「ダモイ」=帰ることを望みながら生きていくところが映画でも現されており、子之吉さんは1日に3040km歩かされたと仰っていました。倒れたり、亡くなってしまうかもしれないという厳しい日々を送っていたと知り、私が特に印象的であったのは子之吉さんが日本に帰国した年月日をしっかりと言葉にして仰っていたところであり、衣食住すべてが厳しい中耐えてきた心の強さを感じたとともに、何年もの待ち望んでいた帰国ができた喜びが伝わってきました。また、当時の一日一食であった黒パンの忘れられない味をもう食べることができないという悲しみも伝わりました。私は創価大学の沖縄県人会の一員として、多くの人に沖縄戦について知ってもらうため、1年生を中心に毎年行われる劇に参加したことがあり、テーマから劇の内容をみんなで決めていく中で、平和について考えさせられ、相手を思いやる気持ちが大切だと改めて感じた機会になりました。その経験から、大勢の人の命が失われていく悲しさや手段を選ばずに人を殺していた戦争の恐ろしさを改めて理解し、それだけではなく、希望を持って生きることの大切さや幸せな日々を送れるありがたみも再確認することができました。子之吉さんが過ごしてきた100年という人生の重みを感じたとともに、これからの長い人生で様々な学びを得ながら過ごしていきたいと思います。



同じ歴史を繰り返さないように YK

  私たち学生ライター部は、819日に佐藤 子之吉(さとう ねのきち)さんに取材させていただきました。佐藤さんは今月100歳の誕生日を迎えられました。こんなにご長寿の方に貴重なお話を聞くことができました。今回取材した内容は、佐藤さんが実際に体験したシベリアでの戦争時代のお話でした。私たちの世代は戦争に無縁の人生を送ってきたので、今回のお話はすごく衝撃的で、貴重でした。そして、佐藤さんは実際に戦地に行き、シベリアで事務の担当されていた頃のお話をしてくださいました。「死の行進」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。死の行進とは、地図も持たされず、目的地も分からず生命を顧みない強制的な移動で、毎日30㎞から40㎞歩かされたそうです。途中でついていけなくなる人もいたそうで、明日自分が生きているのかも分からないという緊迫した状況下でした。食料もままならない状況で、「黒パン」というパンやお粥のようなものを食べてなんとか生活していたそうです。とてもじゃないですが、毎日30㎞から40㎞歩いたのにまともな食事もできないのはとても苦しかったのではないかと思いました。日本軍の階級による上下関係によって食事量も変わっていたみたいで、本当に生きるのに必死だったのが想像できます。人間には「衣・食・住」が必要ですが、当時はなによりも「食」が大事だったと語っています。それくらい食事は人間にとって重要であり、栄養失調になる方も多かったそうですが、そんな過酷な状況を乗り越えて無事に日本に帰ってきたことは本当に誇らしいし、尊敬します。取材時に「明日の命も分からなかった自分が、100歳まで生きられるなんて思ってもいなかった。幸せだ。」と仰っていました。また、当時食べていた黒パンを日本に帰って来てからもう一度食べたことがあるそうなのですが、味が全く違ったそうです。それは捕虜の食事だから、本来の材料「ライ麦」ではなく、ライ麦の使われていない粗悪な黒パンが支給されていたようです。なぜ、もう一度食べようと思ったのかを考えてみました。あくまで私の考えですが、当時は粗末な黒パンでさえも食べられるだけ有り難いと思うほど過酷だったからその思い出をもう一度味わおうとしたのではないかと思いました。今回の取材を通して、戦争という残酷な歴史を二度と起こらないようにしなければならないと思ったと同時に、読者の皆さんに少しでもこの記事が役に立てば嬉しいです。

コメント

このブログの人気の投稿

ASAメールvol.216 2023年9月16日 だれもがいつでも利用しやすい図書館プロジェクト

ASAメールvol.220 2024年1月16日 最後だとわかっていたなら

ASAメールvol.217 2023年10月16日