ASAメールvol.218 2023年11月16日

 




「不思議は身近に-高尾の天狗について- UI

 皆さん、こんにちは。UIです。気温の上がり下がりが激しいですが、風景は色鮮やかになり、秋めいてきました。自然豊かな八王子には秋を感じる場所の一つとして高尾山がありますね。高尾山は登山上級者の方も初心者の人も山登りを楽しめるスポットでありながら、文化、歴史に触れることも出来る貴重な日本遺産です。今回は高尾山へ登り、実際に見たものと調べた歴史を交えながら、高尾山と言えば!で有名な「天狗」について記事を書いていきたいと思います。
 一号路の登山ルートを歩くと高尾山薬王院と小天狗と大天狗の銅像が山頂まであともう少し、と言わんばかりに迎えてくれます。高尾山と八王子市民はある産業による深い繋がりがありました。それは江戸時代に盛んだった養蚕業です。養蚕農家は蚕を守るために「蚕守」の護符を薬王院に求めていたとされており、これは高尾山信仰とも呼ばれています。薬王院へ行く途中には願い事が叶った返礼とされる「杉苗奉納」をした企業や人の名前が多く書かれており、これも高尾山信仰の一種とされています。民衆を守ってくれるから、高尾山を大切に守っていこうとの思いが表れています。また、日本人の名前だけでなく、海外の方の名前もあって意外とグローバルな一面もあることに驚きました。
天狗は日本でも有名な妖怪で、山の守り神と言われることもありますが、高尾山の天狗は修行の守り神として高尾山に住んでいると信じられているようです。また、八王子のむかしばなしを調べると高尾山の天狗にまつわる面白い話がいくつかあります。例えば、八王子市指定天然記念物とされている蛸杉。高尾山の参道が険しい山道だったころ、山に来る人のことを心配した峻厳大徳を見て、なんと天狗が道路の開設工事をかって出てくれたのです。しかし、途中に大きな杉があり、根っこが四方に広がっているせいで工事がはかどらず困った天狗は翌日にその杉を切る決断をします。その話を聞いた一本杉は切り倒されるのは勘弁だと根をすぼめて、道をよけたことで蛸足になったとされています。昔は天狗や木の自我のような「不思議」が身近にあったと今も伝えられていることに畏怖の念を抱きながらも、八王子の発展に天狗がいたという興味深い物事に触れることができました。
 山頂に着くと富士山が見えて、とてもいい気持ちでした。お店で売られている味噌田楽を頂いて、心も体も大満足の高尾山登山となりました。皆さんも高尾山に登ってみてはいかがでしょうか?ちなみに高尾の天狗は生臭いものが大嫌いで、鰯の丸干しを持ってきた男を杉のてっぺんにつるしたという話もあるので、高尾山に登る際には生臭いものを持っていくのは避けるようにしましょう。



「高尾山とことば」KD

こんにちは。KDです。高尾山に登山したかったのですが、就職活動により参加することができませんでした。とても残念でした。しかし、2年前の夏に友人と高尾山に登った記憶を辿って、懐かしい気持ちをひとり吟味することができました。スマホには当時の写真が残っていました。山頂にあるモニュメントの前で変なポーズをしている自分自身を見るとさすがに恥ずかしくなりました。また下山する途中に黒い大きな虫にしつこく追われ、友人と全力を振り絞って逃げたこともいい思い出です。

 高尾山のことをネットで検索すると、数々の詩人が高尾山で歌を詠んでいたことを知りました。山道には多くの歌碑があり、高尾山の自然を詠ったことばがその地に刻まれているそうです。ネット上で公開されている中のひとつの歌が私の気にとまりました。

「あはれかの八月二日の佛暁の 面影遠く 街復興す」

『武州八王子史の道草』などを発刊し多摩の文化継承に貢献した鈴木龍二が詠んだ歌です。第二次世界大戦末期の194582日に八王子空襲がありました。その傷を癒すように復興されていく八王子の街並みをいちずに眺める作者の感慨が伝わってきます。

このように高尾山にはことばが刻まれていますが、ただのことばではなく、詠んだ人やその歌を受け取った人たちの思いが刻まれているように思います。そう考えると、石碑として残らなかった言葉たちが高尾山にはたくさんのこされているように思います。カップルのどっちかが言った「好き」や、家族連れの子どもが「楽しかった」という言葉。私たちの方に飛んでくる黒い大きな虫に気づいて「逃げろ!」と私が友人に叫んだ言葉も山中に残っているはずです。

昔から信仰されていただけでなく、いろんな人が会話し、数多くの思い出がつくられてきたからこそ、高尾山はいまも愛されている霊山であると私は思います。今度登るときまで、どんな人とどんな言葉を交わして登ろうか、楽しみにしておこうと思います。




「高尾の魅力、植物」YH

 

初めまして、文学部2年のYHです。今回、11月3日に部の皆さんと高尾山に行ってきました。当日は、雲一つない快晴で登山日和と言える最高のスタートを切りました。私は東京が地元ではないので、高尾山が東京にあること、なじみ深い八王子にあることすらつい最近まで知りませんでした。意外にも大学から1時間ほどで行くことが出来てしまうというのに、まだ行ったことのない高尾山に行けたというこの機会は非常に大切であったと感じています。

多くの歴史ある建築物に圧倒されたことは印象的です。何百年も前から高尾山を見守っている多くのお寺は、威厳を放っているように感じました。また、世界中の人が植えた杉は高尾山を形づくる骨格になっているように感じました。彩として、季節の花々が見受けられ心が華やかになったのも鮮明に覚えています。自宅で詳しく調べてみたところ、高尾山には約1600種の植物があるそうで、四季を通して花が絶えることはないとのことでした。リンドウやセンブリ、ヒガンバナ、キバナアキギリなどが初秋から晩秋に咲くものとして挙げられており秋を感じることが出来るそうです。「野草園」では約300種類の植物が自然に近い状態で見られるとのことなので次回ぜひ行ってみたいです。また、今度、高尾山に上るときは何か1つの明確な目的を立て、さらに有意義な登山にしていきたいと考えています。

 














コメント

このブログの人気の投稿

ASAメールvol.216 2023年9月16日 だれもがいつでも利用しやすい図書館プロジェクト

ASAメールvol.220 2024年1月16日 最後だとわかっていたなら

ASAメールvol.212 2023年5月16日 第10回八王子一坪パンまつり