ASAメールvol204 2022年9月16日 オレンジガーデンプロジェクト・高齢者あんしん相談センター追分

 


「認知症に対する不安を、生きる希望へと変えるには」 U・I

 皆さん、こんにちは。学生ライター部のUIです。9月に入り、ぐっと気温が低くなる日も多くなってきましたが、皆さんお元気でしょうか?

今月は世界アルツハイマー月間というものに当てはまります。認知症に関する情報の提供をしよう、認知症の方ももっと暮らしやすい街にしようとしていく月間です。八王子にもこの取り組みに賛同し、活動していらっしゃる方々がいます。オレンジガーデニングプロジェクトで世界アルツハイマー月間に貢献している八王子高齢者あんしん相談センター追分の菊地さんに取材をさせていただきました。菊地さんは病気一つで、暮らしづらくなり、家族の疎遠や重荷になることの悲しさを無くしたい、そして、認知症になっても心は変わらないことをオレンジ色のお花をきっかけに知ってほしいとお話をしてくださいました。

皆さんは、認知症に対してどのようなイメージがありますか?介護が大変そう、自分のことすらも忘れる、などネガティブなイメージがある方もいらっしゃるかもしれません。認知症は記憶力や判断力の低下、段取りの仕方が分からなくなるなど、生活に支障が出るほどの症状が挙げられます。しかし、生活に支障は出るものの、最初から何も出来なくなってしまうわけではありません。例えば、切符を持っていて、IC専用の改札を通ろうとする認知症の方がいるとします。「そちらは、IC専用の改札なので、こちらの(切符を入れられる)改札から通ってください」とお声がけするだけで、その人は電車に乗ることが出来ます。認知症の人は「困った人」では無く「困っている人」なので、周りの方々に少し教えてもらったり、フォローをしてもらったりすることで、出来ることがたくさんあると菊地さんからお話を伺いました。

では、自分は認知症だと診断を受けた人たちは何を思っているのでしょうか?実は、認知症になってしまったことで、他人に迷惑をかけてしまうかもしれないから外出を控えたり、認知症という病気を知っているからこそ、今後起きる症状に対して生きる希望を持ちづらくなったり、自分は認知症であると自覚することで、周りからレッテルを貼られ、周りの態度が変わってしまうかもしれないと怖くなってしまうそうです。実は、私も軽度ではありますが躁鬱病を患っています。その診断結果を下されたとき、障がい者として認知されることで周りの態度が変わってしまったらどうしようと悲しくて怖くなったことがあります。病気の種類は違っても病気に対する不安な気持ちが痛いほど分かります。自分の生きる価値や意味を問いただし、悩むことは若者にも高齢の方にもあるんだ、と驚きました。もし、生きることについて悩む人々が年齢を気にせず交流することが増えれば、社会はほんの少し何か変わるのかもしれないと思いました。

私はこの取材で、今の社会で誰に対しても優しく接すること、すべての人々が普通に暮らすことの難しさを痛感し、普通とは何だろうかと疑問に思いました。その答えや実現も難しく、今すぐに答えられるものではないと思いますが、自分自身の知見を広げ、この問いに向き合い続けたいと思います。

高齢者あんしん相談センター追分では、家族のための介護交流会や、介護保険サービス、何かしらに対する不安、人と関わりたいけどどうしたらいいか分からないなど、快く相談に乗ってくださいます。いつでも気軽に立ち寄ってね!なんでも相談に乗ります!とおっしゃっていました。興味のある方はあんしんして是非行ってみてください。


「地域に広がる認知症理解の輪 高齢者あんしん相談センターの取り組み」 Y・R

 

9月の「世界アルツハイマー月間」に合わせて、全国各地で自治体や認知症関連団体を中心に、オレンジガーデニングプロジェクトへの取り組みが行われています。本プロジェクトは、「認知症になっても暮らしやすいまちをみんなで創っていく」ことを目的に、認知症啓発のシンボルカラーであるオレンジ色の花を咲かせる取り組みで、八王子市での開催は今年度が初めてとなります。今回は、八王子においてオレンジガーデニングプロジェクトを始めとして様々な地域支援を行う「高齢者あんしん相談センター追分」にインタビューをさせて頂きました!本記事では、認知症についての正しい理解を広め、皆が暮らしやすい地域づくりの実現に向けた活動を紹介していきます。

主な活動の一つは、認知症サポーター養成講座です。取材の際に、私たちも受講させて頂きました。認知症について、症状や原因、対策などの観点から正しい理解を深めることができました。受講後にはなんとなく怖い病気というイメージから、正しい理解に基づいて、認知症に対して何ができるかを考える機会になります。また、夜の認知症サポーター講座として、地域のBarで講座を開催するという気になるイベントも行っているそうです。みなさんもぜひご参加ください!他にも、認知症関連の図書コーナーや、認知症かもと思った時に気軽に相談できる「ものわすれ相談会」、「家族のための介護者交流会」や、認知症患者さん同士の活動やコミュニティの場づくりなど、多彩な活動を展開されています。更に八王子市の図書館と連携して、認知症関連本コーナーの設置をしたり、スーパーと連携して「買い物練り歩き」を実施し、使いづらさを感じる点についての当事者の声を汲み取るなど、暮らしやすい地域づくりに向けた活動も行われています。

今回の取材では、「認知症当事者の方にも出来ることがたくさんある」という言葉が印象的でした。認知症の方になっても出来ることがあることを理解し、それを支援し、出来ないことも皆で支えていける地域の重要性を感じました。実際に、認知症の症状の中には、周囲の環境や人間関係によって症状の現れ方が異なるものもあるそうです。また、地域活性化というと経済の視点で語られることも多いと思いますが、少子高齢化の進む日本においては福祉の観点からのまちづくりの必要性もますます高まっていると感じた取材となりました。5人に1人が認知症になると言われる日本においては、誰もが当事者との思いで、私自身ももっと学んでいきたいです。高齢者あんしん相談センター追分についても、世代問わず誰でもいつでも気軽に立ち寄れる場所ですので、みなさんもぜひお越しください!



「高齢者あんしん相談センター追分を訪問して」 創価大学文学部教員 西川ハンナ

いつも学生ライターの記事をお読み下さる皆様、大変お世話になっています。学生ライターの取材には、同行させていただいている創価大学の教員の西川と申します。今回、取材後の打ち合わせ中に席を外した間に学生達から今回は記事を書いてほしいとの要望がありました。以前福祉事務所で働いていた事や、現在「社会福祉」を教えているということもあるかと思いますが、いつも無理をしてもらっている学生の依頼は断れません。

今回の取材を通して介護の問題は私が福祉事務所で働いていた時より制度も変わり、更に高齢者の抱える悩みご家族の悩みがより身近になっていると感じました。

私の最近の研究テーマは「地域の社会資源の開発、資源化」です。少子高齢社会では福祉課題は社会課題となり、福祉サービスや福祉専門職だけで解決することは困難になってきています。既存の社会福祉の制度やサービスでは解決できない事、範囲を超えることに対してどのように福祉制度以外の仕組みや関わりを社会福祉の活動に取り入れて資源としていくのか、資源としていけるのかが最大の関心事です。その様な中で、あんしん相談センター追分では既に図書館のような福祉施設とは通常考えない、一般市民のコモン・スペースを利用した認知症の方の相談などを展開していました。

若いころから授業等では「老い」について語ってきましたが、身近なテーマとなり、その切なさもまだ分かっていなかったと思う年になってきました。老いは全ての人がたどる道ですし、身内よりむしろ第三者の専門家へ相談した方が良いこともあるかと思います。髪を切るのに美容院に行ったりするように、そのくらい気軽に相談してほしいと思いますし、社会福祉士である相談員の菊地さんもその様におっしゃっていました。「どのようなことでも気軽に立ち寄ってください。」と。それこそ在宅で長く暮らす秘訣ではないでしょうか。多くの人に薄く世話になったり、したりで生活していく。そんな暮らしやすい八王子であればと願います。


 




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