ASAメールvol201 2022年6月16日

 





「描け、柿の木で繋ぐ願いの架け橋」U・I

こんにちは、創価大学文学部三年生のUIです。皆さん、「時の蘇生・柿の木プロジェクト」というものをご存じでしょうか。それは柿の木の植樹とアートを通して平和の心を育てるプロジェクトです。514日に東京富士美術館にて柿の木の植樹が行われました。なぜ柿の木で平和の心を育てるの?なぜアートで?と思う方もいらっしゃると思います。これには、「戦争」と「子ども」という言葉が深く関わっています。

194589112分。この時刻は第二次世界大戦で、長崎に原爆を投下された時刻です。爆心地近くにいた人々はほぼ即死、全身に火傷を負う人々、家屋は倒壊し、街は炎に呑まれ、被害は甚大。そんな中、爆心地に近い柿の木が半身を炭としながらも、たくましく凛と立っていました。その柿の木の持ち主が両親から受け継いだ大切な柿の木だから、治して欲しいと樹木医の海老沼先生に頼みました。柿の木を見た海老沼先生は原爆の恐ろしさを伝えているようだと感じたそうです。懸命に治療をしたことで、死にかけだった柿の木が実をつけるようになりました。14日のトークセッションで、みずみずしい黄緑色の柿の木の双葉がちょこんと土から顔を出した写真を拝見しましたが、本当に愛らしく生命の美しさを感じました。被爆した柿の木の種は皮が薄く、2割ほどしか発芽しません。原爆の後遺症を背負いながらも生きようとする柿の木たちの尊さに胸がきゅっとなりました。

原爆の恐ろしさを伝えようと現代アーティストの宮島達男氏とタッグを組み、「時の蘇生・柿の木プロジェクト」が発足されました。ところで、アートというものは、不思議なもので言語が無くても通ずるものであり、誰でもできることの一つ。なにより、楽しいものですよね。東京富士美術館に植樹された柿の木の周りに布に描かれたたくさんのアート作品があります。中には、柿と見せかけてハバネロを描いていたり、ジブリ作品の登場人物と柿を合体させたり、自由に描かれています。戦争と対比させてみると、真逆です。だからこそ、楽しく絵を描いた記憶を忘れずに柿の木と共に大きくなった子どもたちが、戦争を戦争と捉えられるようになった時にもう一度平和とは何かを考えていくのです。

また、柿の木プロジェクトは日本だけでなく、世界にも渡りました。印象的だったのはアイルランドです。アイルランドは宗派がカトリックとプロテスタントに分かれており、通う学校さえ別々です。しかし、柿の木の植樹を通して異なる宗派の子どもたちが一緒に柿の木を植樹しました。小さなようで大きな一歩です。

東京富士美術館に柿の木が植樹されたことで、遠い過去の話であった戦争、原爆がより身近に感じました。私に出来ることは、この記事を書いて、柿の木プロジェクトを知ってもらい、平和について考えるきっかけを作ることなど、ほんのわずかなことかもしれません。しかし、いつか柿の木のようにこの小さな成果が実ってほしいと思います。

 


「平和について考える」W・O

 515日に東京富士美術館で行われた「時の蘇生・柿の木プロジェクト」に参加しました。私は、缶バッチ担当として、イベントに訪れた子どもたちに「缶バッチを作りませんか?」と宣伝したり、作り方をレクチャーするなどして、子どもたちと関わることが出来ました。書いているところをこっそり覗くと、柿にかわいく顔を書いていたり、自分のイラストを描いていたり、好きなものを書いているなど、みんな思い思いのイラストを描いていました。植樹式にも参加することが出来、素敵なヴァイオリンの音色と共に、植樹する様子を見届けることが出来ました。私自身、戦時中の話を今は亡き祖母から聞いたことがあります。私の地元は岐阜で、私の祖母は岐阜空襲の被害を受けました。岐阜空襲は、終戦の約2ヵ月前の194579日にあり、被害としては、岐阜市中心部の約7割を焼失し、ほぼ焼野原となったそうです。

使われたのは、B29130機、使用された焼夷弾はおよそ900トンで、死者約900人、負傷者は1000人以上、罹災者は約10万人だそうです。一方、八王子市は81日に空襲の被害にあったそうですが、岐阜市と同じくらいの規模の被害を受けたそうです。普段は温厚な祖母が、戦争の話をするときだけすごく深刻な顔になり、「どんなことがあっても、戦争はしてはいけない。」「平和ということがどれほど尊いか。」ということを強く訴えていました。戦争を経験していない世代が圧倒的に増えていく中で、こうしたイベントを通じて平和について考えるきっかけをいただけてすごくよかったと思います。今日参加してくれた子どもたちが生きる時代も、戦争がないこと、平和であることを願っています。

 

 


「時の蘇生・柿の木プロジェクトに参加して」H・T

みなさんはじめまして。創価大学文学部三年のHTです。514日に東京富士美術館で行われた「時の蘇生・柿の木プロジェクト」のメインは何といっても柿の木の植樹!この柿の木は長崎での原爆に耐えた柿の木の子どもだという。平和を願ってこの柿の木の子どもたちは世界各地に植樹されており、今回はこの八王子にやってきたらしい。世界中の人が干し柿をつるしている図を勝手に想像している私も長崎市出身である。なかなかお目にはかかれない同郷木?なので会いに行くことにした。私はどういうわけか美術館に行く途中に原付で盛大に転んでしまい、テンションの調節ができない状態になっていた。妙にずっとハイテンションだったわけだが、通常雨上がりの朝の人間は妙にローテンションである。突然他の学生に「おはよう!私は哲学のゼミに入っていて」なんて話しかけようもんなら怪訝な顔をされるに決まっている。ハイテンションの自覚を持つ私は右半身がずぶ濡れなこと以外は通常の人間ぽくあろうと努めた。そのおかげかほとんどの人にはただの人間に見えたと思うし実際に私はただの人間なのである。しかし努力をするものは報われる。実際に私のハイテンションは子どもたちの登場によって報われた。どんな時であろうとハイテンションな子どもたちと私のハイテンションはうまくかみ合ったらしい。子どもたちは思い思いに絵やことばを絵の葉にかいては楽しげに笑い、かいたものを見せてくれた。イベントには他にも10年後の自分への手紙を書くコーナーもあった。私も書きながら10年後に思いを馳せてみたがどう計算したって10年後の自分は31歳である。アラサーを超えている。あまりの衝撃から気づくと10年後の自分を励ます内容になっていた。「まだ人生は長い」だとか「恋人なんていなくても死ぬもんじゃない」とかそんなことを書いた気がする。10年後の自分が一体どんな風になるかは知らないが21の奴に言われたかねえというのが正直な感想になるだろうと思う。窓際で10分ほど同じ姿勢で手紙を書き続けた結果背中が焼けるように熱い。空を見上げると朝までのどんよりした空はどこへやら、きれいな青空である。あー洗濯して来たらよかったと思うと同時に「青い空は」という歌を思い出した。夏になるとやたらと聞くし歌わされるなと思っていた歌だったが今考えると名曲である。そして大人になった今、子どもであった時よりもずっと歌詞にこめられた思いが理解できた。やっぱり空は青いほうがいい。

  


「八王子に宿る平和への願い」Y・M

私は今回のプロジェクトで、オリジナル缶バッジ作成のスタッフをしました。主に子供たちが、楽しんで個性豊かな絵を描いていました。「時の蘇生・柿の木プロジェクト」にちなんで柿を描いている子がたくさんいたのですが、柿にニッコリマークが描いてあったり、周りに装飾したり、金色と銀色で柿を描いたりと、自分だけの缶バッジがたくさんできました。子供の発想は大人では思いつかないものもたくさんあり、スタッフ側としても楽しみながらサポートができました。ほとんどは子供でしたが、時々親御さんやご年配の方なども参加してくださり、年齢の垣根を超えて「アート」を楽しんでいる姿に心温まりました。

バイオリンの優雅な演奏の中行われた「被爆柿の木2世」の植樹式。参加していた全員が順番に苗木に土をかけて植樹を行いました。プロジェクト開始から27-8年経った今、世界中にこの「被爆柿の木2世」が植わっており、そのうちの一つが今回八王子の東京富士美術館に来ました。戦争への認識が薄くなっているという課題もある今、他人事としてではなく自分ごととして捉え、「戦争があった、原子爆弾が落とされた」という事実が消え去ってしまわないようにしなければならない、とこの植樹を通して感じました。また、子供たちは、今は何のことか分からないかもしれませんが、今回植えた柿の木と一緒にすくすく育ってくれたら、それだけで今回の植樹に参加した意義があると強く思いました。そして、大人はそれを見守っていき、いつか子供たちが大きくなった時に、この柿の木の意義を語っていくことが大事なのではないでしょうか。

  


「柿の木と僕」O・R

 初めまして、理工学部2年のO.R(自分のイニシャル)です。先輩に誘われ14日に行われた東京富士美術館の「時の蘇生・柿の木プロジェクト」に参加させていただきました。柿の木プロジェクトとは、長崎で被爆した柿の木2世の苗木を植樹し、同時にアート活動を通じて子どもに平和と命の大切さを伝えている活動です。参加させていただき、感心したことは、その日だけのイベントではなく、長期間の子供達の未来を見据えて考えられていることです。このプロジェクトは、植樹前にみんな10年後に向けて手紙やイラストを描いてタイムカプセルを埋めることをしています。その理由は、植樹したときは幼すぎてわからなかった「平和」についての研鑽を、10年の時を経てまた集い、今度はしっかり平和について研鑽する。そんな事が考えられているのでタイムカプセルを埋めます。このことや、柿の木というのは成長するのにとても時間がかかるもので、植樹先の地域の人や子供たちと共に柿の木は育っていき、みんなでこの活動自体をアートにしていく、そんな長期的な目標があることに感心しました。

 この機会に、戦争なんて現実味がない話が、より身近に感じました。ですが平和についていま一度考えてみても、未だに大した答えが見つかっていません。私は「音楽を通して、世界の平和に貢献する」なんて大層な事を掲げている、軽音団体に所属しています。そこでは時折、「平和」について考える時間があります。一年間世界の諸問題やどうすれば平和に貢献できるかなど、考えてみたもののこれといって自分の意見がまとまりません。ですがこのプロジェクトを通して、焦らずゆっくり、それこそ10年ぐらい考えて、この木が成長して実がなる頃には答えを出せるようにしたいです。

 



「平和への願いを缶バッチに込めて」S・S

初めまして、文学部3年のSSです。514日に八王子にある東京富士美術館にて行われた、「時の蘇生・柿の木プロジェクト」に参加させていただきました。柿の木プロジェクトとは、被爆した柿の木から芽生えた新たな命を世界中に届け、アートを通して主に子供たちへ平和を繋ぐ活動のことです。今回私は、その中でも「植樹記念オリジナル缶バッジを作ろう!」とのイベントのお手伝いをさせていただきました。小さな丸い紙に絵を描いていただき、それにフィルムを被せて手動の缶バッジ製造機にかけると、そのイラストがそのまま世界に一つだけの缶バッジになるという素敵な催しです。来場者の方は、思い思いに色鉛筆を走らせ、今日の思い出を形に残しておられました。柿の木プロジェクトにちなんで写実的な柿の絵を描かれる方、にっこり笑顔の柿のキャラクターに、平和への願いを絵に込められる方もいました。何を描くかは自由なので、子どもたちも自由な発想で紙を彩って、自分の好きなキャラクターや愛犬のイラスト、力強いうずまき模様など、思わず笑顔になるその内容は実に多種多様です。缶バッジをつくる機械に興味津々の子もいました。機械のレバーはずしりと重く、缶バッジが綺麗に完成しますようにと祈る気持ちでひとつひとつ心を込めてお手伝いさせていただきました。どうかこの缶バッジが、平和を願った今日という日が存在した確かな証拠となって、人々の心が平和を目指し続けていくささやかな一助となりますように。

  


「平和を諦めない」S・I

初めまして、国際教養学部一年のSIです。私は514日に東京富士美術館で行われた、「時の蘇生・柿の木プロジェクト」に参加してきました。今回は、このプロジェクトに参加して感じたことや、平和について考えたことを書き記していきたいと思います。

まず初めに、柿の木プロジェクトとは、平和の大切さを、柿の木とアートの融合で伝えていく取り組みです。これまでに、世界26カ国320カ所以上で行われており、今回東京富士美術館で開催されたプロジェクトでは、現代アーティストでありこのプロジェクトの生みの親である宮島達男氏、樹木医である海老沼正幸氏、東京藝術大学学長である日比野克彦氏によるトークをはじめ、アート体験型のイベントなど、子供から大人まで楽しく平和について考えることができるプログラムとなっていました。

数あるプログラムの中で、私が心に残ったことは、韓国で植樹された柿の木が2度も引っこ抜かれてしまったというお話です。2000年、韓国・光州市で行われた植樹式で、世界の平和と日韓友好を祈って植樹された柿の木でしたが、日本をよく思っていない人物が、その柿の木を引っこ抜いてしまったそうです。しかも、1度ではなく2度も。しかし、誰も、平和を諦めませんでした。柿の木1本も守れなくて世界平和を実現できるわけないと、再び植樹を行い、3度目の植樹後は誰かの危害を被ることもなく、柿の木はぐんぐんと成長しているそうです。

私の尊敬する哲学者も、「平和を諦めないこと」の大切さを訴えられています。世界平和を達成することは遥か彼方の未来のことのように感じられます。そして、自分自身の無力さを感じることの連続であるとも思います。それでも、自分の目の前の人に、思いやりの種を蒔き、その人もまた別の人に思いやりの種を蒔く。世界平和の達成に近づくために私たちができることは限られているけど、皆無ではないのです。

世界平和の輪が広がっていることを肌で感じられる、このプロジェクトはとても素晴らしいものだと思いました。これからもこの体験を伝えていくことで、平和について考える人が少しでも増えればいいなと思います。






 

コメント

このブログの人気の投稿

ASAメールvol.216 2023年9月16日 だれもがいつでも利用しやすい図書館プロジェクト

ASAメールvol.220 2024年1月16日 最後だとわかっていたなら

ASAメールvol.212 2023年5月16日 第10回八王子一坪パンまつり