ASAメールvol195 2021年12月16日

 学生ライター部がシュリーマン関連のイベントに携わった方々にインタビューをして、沢山の反響があったことを記事にしました。

  1. LINEスタンプ「八王子の魅力をあなたへ」 A・Y
  2. 都まんじゅう「シュリーまんのちょこっと裏話」 A・Y
  3. 「くまざわ書店シュリーマン学生選書コーナーの反響」 R・Y
  4. 「学生の想いが与えた影響」 Y・F
  5. 「ドイツと八王子―シュリーマン&肥沼信次―」展振り返りインタビュー K・S
  6. 「東京富士美術館×桑都プロジェクト」 S・Y


シュリーマン×ASAメール コラボスタンプ

1.LINEスタンプ「八王子の魅力をあなたへ」

  桑都プロジェクトには様々な企画のためのグループが存在し、それぞれの学生が強みを活かしながら活動してきました。その中でも特に、デザイン部は各イベントのチラシやデフォルメイラスト、記念品の作成など、芸術面に特化したプロフェッショナル集団であり、桑都プロジェクトにはなくてはならない存在でした。

そんなデザイン部の約4ヶ月間に及ぶ努力の末、なんと八王子とシュリーマンのコラボスタンプの発売が決定しました!スタンプ作成に携わったのは主に4人の女子学生で、今回はそれぞれの学生に作成時の苦労した点やこだわりの点などを聞いてみました。

 まずは苦労した点を尋ねると、不慣れなデジタルイラストへの変換に苦労した、普通のイラストよりも文字が小さすぎず、強調したいところを目立たせるなどの作業に特に神経を使ったなどの技術的な苦労を聞くことができました。現在はスマホのアプリで簡単にデジタルイラストが作成できるとはいえ、彩色や線の強弱などの細かな部分は短期間で仕上げるにはとても大変な作業だったに違いありません。

また、ただのイラストではなくそれを普段使いできるようなスタンプに仕上げなければ、自分の満足できる仕上がりになったとしても、全く需要のない物になってしまうため、そこにとても苦労したようです。

 続いて特にこだわった部分について伺うと、できるだけ可愛く、デフォルメ化されながらも立体感のあるものを目指したことや、無難な建物とシュリーマンをただ並べるだけでなく、お店のホームページを検索し、そのサイトの雰囲気を取り入れるなどの細かな部分にもこだわりがあることが分かりました。写真にもある通り、シュリーマンと八王子という限定されたテーマではあるものの、使いやすい単語に加えて可愛らしいイラストのスタンプとなっており、幅広い世代や市外の人たちにも広まることが期待されます。また、外観だけでなくそのお店の雰囲気も感じ取れるスタンプは、そのお店に馴染み深い人にとって「あー確かに!」と気づきがあり、より一層愛着が湧くものになるのではないかと思います。

 発売は12月下旬頃を予定しており、現在も最終チェックが進められている状態です。1年目の桑都プロジェクトも1月の最終報告会に備え、徐々に幕引きに近づいていますが、このスタンプが皆さんのもとで使われ、改めて八王子の魅力を感じ取っていただけることを心から期待しています。

2.都まんじゅう「シュリーまんのちょこっと裏話」

「桑都プロジェクト」と聞くと皆さんは何を思い浮かべますか?毎号ASAメールさんには桑都プロジェクトで行っている企画についての記事を取り上げていただき、このように地元の皆さんに知っていただくことができています。その中でも特に反響が大きかったのは、皆さんご存知、都まんじゅうさんとのコラボ商品「シュリーまん」ではないでしょうか。今回はそのシュリーまん作成に携わった2人の学生へ取材し、大変だった点や反響などをお伝えできればと思います。

 まず初めに大変だった点を聞くと、焼印のデザインについてさまざまな葛藤があったことをまず挙げてくれました。都まんじゅうは非常に小さく、それに押す焼印はさらに小さい40ミリ以内に収めなければいけません。そのため最初に決定した案を変更する必要があり、入れたかった文字を諦めるなどの妥協した点が有ったようです。

また、大学祭での学内販売をした際の商品の運搬も大変だったという話も出ました。今年度の大学祭は在学生と大学関係者のみに限られていましたが、あまりにも好評すぎて初日は3分ほどで完売してしまいました。それを受けて2日目は二倍の量を用意することになったのですが、人数の増員はしていなかったため、その運搬が身体的にも大変だったようです。しかしその分大学内にも期待してくれている人が居ることを実感できたため、結果的にはとても良かったと話していました。

 続いて反響について伺うと、多くの媒体で取り上げて貰うことが多かったようで、朝日新聞多摩版、毎日新聞、八王子ショッパー、タウンニュース多摩版、Jcomチャンネル八王子等、予想以上の反響がありとても驚いたといいます。まさか自分が新聞に載るなんてと未だに実感が湧かないものの、知り合いや家族にも好評な上、地元が八王子でないからこそ八王子外の人にも都まんじゅうの存在を知ってもらえたことが嬉しいと話していました。

 また、実際購入してくださる人の多くはシュリーマンを知らない人ですが、自分たちが作成したチラシを読んで知ってくれた方や、教員からも購入したと声をかけられたりと、本来の目的である「シュリーマンで町おこし」を実現出来ていることを実感しているそうです。

 最後に、シュリーマンを中心とした町おこしも終盤に差し掛かった今だからこそ、今後に期待することを聞いてみました。挙がったのは反省点で、広報面で不十分なところがあったそうです。様々な場所へチラシを置くなどの宣伝をしましたが、絶大な効果はなかったため、まずは地域の方との交流が出来る場への参加や機会を設け、親密な関係を築いてから宣伝をすることで、人から人へという力が更なる宣伝効果になるのではないかと話しており、ぜひ今後の企画へ活かしてもらいたい反省点であると思いました。

 残り少ない販売期間となりましたが、まだ購入されていない方も以前購入された方もぜひ購入していただき、改めて古き良き美味しさと可愛らしいシュリーマンを味わってみてはいかがでしょうか?

※シュリーまんは2/15までの販売です。


3.「くまざわ書店シュリーマン学生選書コーナーの反響」

 1016日(土)より、くまざわ書店八王子店にて「シュリーマン学生選書コーナー」が開催されています。この企画は、八王子を訪れたシュリーマンの生誕200年を記念して催されたもので、くまざわ書店八王子店さんと、「創価大学文学部インターゼミ桑都プロジェクト」のコラボレーション企画となっています。選書コーナーには、くまざわ書店八王子店の社員さんと、創価大学文学部インターゼミ桑都プロジェクトの学生が選書した、シュリーマンに関する本が並べられており、本を紹介するポップやポスター、本棚の装飾などによって魅力あふれる空間になっています。

 今回はなんと、くまざわ書店八王子店のご担当・磯前さんへのインタビューをさせて頂きました! 選書コーナーの反響や意義について詳しくお話を伺ってきたので、その様子をお伝えします。

 はじめに、学生選書コーナー企画の経緯についてお聞きしました。人文系出版社での勤務を経てくまざわ書店で働くようになった磯前さんは、水俣病患者への鎮魂の文学、『苦海浄土』で知られる石牟礼道子さんの仕事に携わる中で、市民団体の活動や出版業界の最前線としての書店に興味を持つようになったそうです。実際に書店員として、著者や編集者、市民が集まれるような空間・イベントづくりといった、くまざわ書店初の試みに取り組んできました。今回の選書コーナーも、そうした取り組みの延長線上に位置づけられます。千葉県の書店で手がけたイベントで知り合った編集者を通じて、創価大学文学部教授の伊藤貴雄先生とお会いしたことが契機となり、学生インターンとして本企画がスタートしました。

 続いて、書店企画を実現する上でのエピソードや、反響についてお聞きしました。企画を進めていくうえで苦労したことはあまりなかったようです。それには二つの理由がありました。一つには、くまざわ書店さんのこれまでのイベント経験を活かせたこと。もう一つは、学生の持つ読者目線。印象的なエピソードとして、学生の選書リストに料理の本がリストアップされていたことを挙げていました。学生の読者への想像力によって、より魅力的な選書コーナーになったようです。

くまざわ書店さんとしても、コロナ禍でどのように地域を盛り上げることができるのかという問題意識がある中で、本企画を意義の深いまちおこしになっていると評価していました。実際に、来店したお客様――特にご年配者の嬉しそうな姿や、売り上げの向上、シュリーマンのイラストを刻印した商品を販売している都まんじゅうさんから来店してくれるお客様が多い、などの反響が見られたそうです。昨今の人文書系フェアの反応が苦しい中で、選書コーナーが始まってからの1週間で50冊もの本が売れました。また、選書コーナーが始まる前から、「もう始まっていますか?」と問い合わせるお客様も多く、反応の速さが特徴的だったようです。もしかしたらASAメールの記事での広報が一役買っていたのかもしれませんね。

  最後に、磯前さんから書店企画に対する感想と、これからの展望、そして読者の皆様へのメッセージを頂きました!本企画に対する感想としては、コロナ禍における社会の分断が進む中で、地域を通じて連帯を築いていくような、これからの大切なモデルになると期待されていました。これからの展望としては、くまざわ書店さんや八王子の文化をもっと知ってもらえるような取り組みをしていきたいそうです。具体的には、八王子の出版社である揺籃社の創始者であり、生活者としての民衆たる人々に文章を書いてもらうことで、その主体性を高める「ふだん記」運動を提唱した橋本義夫さんについての研究会を興し、フェアを実施したいと語ってくださいました。読者に向けて、「まちおこしを通じて連帯を深めていく、その一翼を担っていきたいです。そのために、市民の皆様には八王子の歴史を見て頂きたいと思っています。学生さんたちには、感謝しかありません。地域とのつながりを深め、一緒にまちおこしできたことは大変光栄なことと思っています。今後も、シュリーマンのような企画をきっかけとして、地域へのまなざしを深めて頂きたいです。」とのメッセージを頂戴しました。

 以上で、インタビューの紹介を終わります。秋の深まりも過ぎて冬が到来しました。寒さの厳しい季節には、お家で暖を取りながら本を読む、そんな温かい時間を過ごすのもいいですね。この冬を共にする一冊を探しに、くまざわ書店を訪れてみては!?

くまざわ書店5F 学生選書コーナー



4.「学生の想いが与えた影響」

 創価大学の学生が八王子の街おこしのために始めた桑都プロジェクト。

その活動も12月に入り終盤となりました。今年から初めて開始したプロジェクトに、手探りながらも八王子の方々の協力のおかげでここまで走り切ることができました。しかし、実際の桑都プロジェクトの反響はどうだったのでしょうか。

八王子駅北口商店会会長の清水栄さんは初め、「こんなに大きい影響が出るとは思っていなかった」と言います。

 「伊藤先生から、桑都プロジェクトが始まる前に、地元の人と繋がりたいっていうことを聞いてたんですけど、ハードルが高いと思っていたんですよ。でも、オンラインで読書カフェをやっていて、桑都プロジェクトとしても地元の人とどんどん繋がっていった」

 桑都プロジェクトでは読書カフェの後も、都まんじゅうとコラボしたシュリーまんの販売、くまざわ書店での選書コーナー、シュリーマンの展示など、八王子の店や人々と協力した企画が行ってきました。

 「都まんじゅうで焼き印を作りましたよね。商店会でも前にスタンプを作ってスタンプラリーをしたことがあるんですよ。でもこういうスタンプって結果に繋がりづらいから、都まんじゅうが売り上げが伸びて本当にすごいことなんです。ここまで結果にコミットできたのは、やっぱり学生さんたちの強い情熱やパワーがあるからなんですね」

 この学生の情熱は伝染していき、ASAメールや朝日新聞、東京新聞、読売新聞、毎日新聞、ショッパー、タウンニュースなどに取り上げられ、多くの人が桑都プロジェクトの活動に興味を持っていたことがわかります。八王子内では、どこに行ってもシュリーマンと聞くと、詳細は分からないながらもみんな名前だけは知っていました。それで実際くまざわ書店に行って、学生の選書コーナーを見て、こんな活動をしているのかと実感します。

 今の状況下、集まって活動するのは難しいことです。しかし、選書コーナーや展示、イラストを捺した都まんじゅうの販売は、集まらなくても共通の話題になるものでした。「このコロナ禍で消沈した中、学生の何かをしてみよう!という想いがプラスの影響になった」と、清水さんは語ってくれました。


5.「ドイツと八王子―シュリーマン&肥沼信次―」展振り返りインタビュー

  学生ライターのKSです! この記事では、「ドイツと八王子―シュリーマン&肥沼信次―」展の企画班の代表の学生で、ASAメールでもおなじみCHさんと、展示に協力してくださったDr.肥沼の偉業を後世に伝える会から、塚本回子さん、田中尚子さんにインタビューしてきました


●桑都プロジェクト展示企画班代表 CHさん

——展示企画班とは、具体的に何を行うグループだったのでしょうか?

CHさん:展示企画班は、113日から14日まで2週間にかけて、市街地にある「まちなか休憩所 八王子宿」の2階「まち・なかギャラリーホール」をお借りして、「ドイツと八王子―シュリーマン&肥沼信次―」展を開催しました。この企画の展示を桑都プロジェクトのメンバーで行いました。展示では、シュリーマンを中心に活動を展開してきた桑都プロジェクトの今までを振り返りました。また、企画展示独自の活動として、シュリーマンと八王子の関係についての研究の成果を展示しました。これは、シュリーマンが八王子を訪れた当時のことを記した『シュリーマン旅行記 清国・日本』(講談社)の八王子の章についてのまとめや、シュリーマンが八王子を訪れた際に、実際にどの道を歩いたのかなどを詳細に取り上げたものです。地元・八王子の皆さんにシュリーマンを身近に感じてもらうことをテーマに、展示を行いました。さらに、今回の企画は「Dr.肥沼の偉業を後世に伝える会」様とのコラボが実現したものでもあります。肥沼博士が八王子からドイツに渡った医師ということもあり、ドイツと八王子の架け橋という共通点からコラボさせていただきました。

 ——その活動の中で、代表であるCHさんが何をされていたのか、教えてください。

CHさん:私は展示企画独自の展示である、シュリーマンと八王子との関係についての展示を作成しました。『旅行記』の原文と和訳を比較して、それを読みやすいように展示しました。また、会場である「八王子宿」が、シュリーマンの通った道の近所であるということから、そのことを広く伝えるために、展示をより良いものへと仕上げていきました。さらに代表として、全体の展示構成を考えて、それを各グループへ割り振ったり、全体の進行を行ったりしました。

 ——展示企画を進めていく上で、何か苦労したことはありましたか?

CHさん:「肥沼の会」様との連絡のやりとりは、学外との団体であること、加えて私が普段やりとりをしないような年齢層の方々であることから、緊張しながら行っていたことを記憶しています。フライヤーや広報の面でも、気配りしながら一つの言葉を慎重に選んでいました。また、展示期間が大学での試験や、ゼミが忙しい期間であったため、メンバーがなかなか集まらず、それぞれのグループの進捗をまとめることが困難であったことも、苦労したことの一つです。

 ——来月6日がシュリーマンの生誕200周年ですが、これからどのような活動をやっていきたいですか?

CHさん:私個人としては、展示を作成したときにシュリーマンが実際に歩いた道を明確に知ることができたので、その生誕200周年までにシュリーマンの歩いた道を歩いてみたいです。『旅行記』に描写されている道が現在どうなっているのかを、学生や地域の方々とともに歩きたいです。また、「くまざわ書店八王子」様での「学生選書コーナー」の第二次選書のPOP作成がまもなく始まるので、それが楽しみです。プロジェクト全体としては、今まで桑都プロジェクトの学生メンバー全員が一堂に会するという機会がなかったので、ぜひそういう機会を作ってみたいですし、地域の人との関わりをこれからも深くしていきたいです。

 ——今回の展示企画は、どのようなメディアに、どのくらい掲載されたのでしょうか?

CHさん:毎日新聞や東京新聞が桑都プロジェクトの活動を総合的に取り上げてくださいました。また、朝日新聞や創価大学の学内広報は実際に展示に来てくださり、そこで取材してくださいました。

 ——その反響はどのくらいありましたか?

CHさん:具体的にどのくらいの反響というのはちょっと難しいですが、今回取り上げられたことで地域の方々の期待や温かい励ましを肌で感じることができました。

 ——今回の展示はASAメールでも取り上げましたが(VOL.193)、どのくらいの人数の方が来られたのでしょうか?

CHさん:今回の展示には、のべ352名の方に来場いただきました。その大勢の方々の中に、ASAメールを読んで来ようと思った方がいると思うと、非常に嬉しく思います。ASAメールは地域密着型なので、読者に声が直接届くという印象があります。

 ——最後に、ASAメールの読者に一言お願いします。

CHさん:ASAメールでは、以前から展示企画のことを取り上げていただきました。読者のコメントにて、皆様の期待や応援をいただき、大変感謝しております。私は八王子市外から大学に通っているので、八王子の方々と触れ合う機会ができ、とてもよかったです。今後もASAメールをきっかけに、多くの人と出会えれば嬉しいです。ありがとうございました。

企画展で上演していた紙芝居のイラスト
シュリーマンが来日

   

Dr.肥沼の偉業を後世に伝える会  塚本回子さん 田中尚子さん

——Dr.肥沼の偉業を後世に伝える会について、教えてください。

塚本さん:私がDr.肥沼のことを知ったのは2005年でしたが、会として活動できるようになったのは10年後でした。八王子出身のDr.肥沼のことを八王子の市民、特に子供たちに伝えたいという願いがありました。Dr.肥沼が尊敬していたアインシュタインの言葉「誰かのために生きてこそ人世には価値がある」を身をもって示した方でその生き方を伝えたい、そしてベルリンの壁のために情報が日本に伝わらず、ご両親も息子の活躍ぶりを知ることができずに亡くなっています。情報の途絶えることの悲しさも伝えたいと思います。この活動が市に認められ、2017年にはヴリーツェン市と国際交流友好都市締結を結ぶことができました。学校や各種団体への講演会はいままで70回くらい行い、生誕の地である中町にはDr.肥沼の顕彰碑も市民の寄付によって建立致しました。毎年、38日の慰霊祭には市内小学校、中学校、高等学校の生徒たちに折ってもらった千羽鶴をヴりーツェン市に送っています。

 ——なぜ今回、桑都プロジェクトとコラボしたのでしょうか?

田中さん:2018年に、私が肥沼博士に関する紙芝居をしていた際に、創価大学文学部の伊藤先生がいらっしゃり、八王子とドイツの関係、八王子を訪れたシュリーマンの話で意気投合しました。八王子とドイツ両方にゆかりのある肥沼博士とシュリーマンで、いつかコラボをしたいとそのときに話をしていましたが、それが数年越しに実現した形となりました。両者を結びつける「世界市民」というワードも伊藤先生が考えてくださり、肥沼博士とシュリーマンのコラボ展示を学生の皆さんと実現することができました。

 ——展示企画にてどんな活動をされたのかについて、教えてください。

塚本さん: 展示会では、今までの活動をパネル写真7枚で紹介しました。紙芝居上演は大変好評でした。学生さんたちが参加できない平日や土曜日には朝から夕方まで会場に当番で立ち説明などをしました。

 ——桑都プロジェクトとコラボするにあたって、どのようなことを感じられましたか?

田中さん:以前から桑都プロジェクトがコラボしている「つるや製菓」さんや「くまざわ書店」さんのお話を伺って、とてもいい感じだなと思っていました。特におまんじゅうにシュリーマンの顔が描かれているというのは非常に分かりやすいですし、八王子とシュリーマンの関係が、都まんじゅうや書籍から知れ渡っていくということが楽しみでした。それがきっかけとなって、地域の方々の間でコミュニケーションや話題が広がっていったことがとても楽しかったです。

 ——今回の展示企画に対して、どのような反響がありましたか?

塚本さん: 会場に来てくださったのは、創価大学関係の方が多かったと思います。どちらかというと広報不足だったかと思っています。せっかくの企画でしたので、もう少し宣伝ができたら良かったのにと思っています。でも、シュリーマンしか知らない人がDr.肥沼のことを知り、Dr.肥沼の事しか知らない人がシュリーマンを知ることができたのは素晴らしい効果だったと思います。

 ——来月6日でシュリーマン生誕200周年ですが、これからも桑都プロジェクトと何かコラボしたいことなどがあれば、ぜひ教えてください。

田中さん:今回、シュリーマンの展示ということで書籍や論文など、文字ばかりの展示になってしまうのではないかと思い、子どもたちに分かりやすいように肥沼博士とシュリーマンの紙芝居を自作して、読み聞かせを行いました。10分間という短い間で波瀾万丈の人生を子どもたちに伝えられたと思います。土曜日にこちらを行いましたが、その日に限ってたくさんの人が来場されていたのは、きっと紙芝居目当てだったのだと思います(笑い)。今後も桑都プロジェクトと協力して、地域の子供会などで紙芝居を披露したいです。こういった身近な体験から、八王子のことやドイツのこと、絹産業のことなど、子どもたちにさまざまなことに目を向けてほしいと思います。

 ——ASAメールの印象について、教えてください。

塚本さん: 学生ライターの存在はとても素晴らしい事だと思います。これからも様々な取材をしてほしいと思います。

田中さん:私は朝日新聞を購読していないので知らなかったのですが、学生たちが自分たちで記事を書いて、地域に発信していてとてもすごいなと感じました。

 ——最後に、ASAメールの読者に一言お願いします。

塚本さん: 今回の企画は「ドイツと八王子―シュリーマン&肥沼信次―」でしたが、皆様はどのように関心を持たれたでしょうか? 自分の文化に固執しないで日本を八王子を評価したシュリーマン、そして、日本人でありながらわが身を顧みず多くのドイツ人の命を救った肥沼信次はまさに「世界市民」としてグローバル化した今の時代に立派に通用するのではないかと思います。

田中さん:絹産業の町であったことやシュリーマンが来た偉大な町であること、身近な話題が八王子にはたくさんありますが、忙しいなどの理由でそのような歴史になかなか目が向かなくなっていると思います。そんな面白い町だからこそ、私はいろいろな人にインタビューして、紙芝居などからその魅力を発信していきます。学生の皆さんも自分が思っていることを文章にして人に伝えていくという活動は今後がとても楽しみで、ぜひ私もやってみたいと思いました。八王子の皆さんには、このような発信からぜひとも八王子の魅力を見つけていってほしいです。

企画展で上演していた紙芝居のイラスト


シュリーマン、遺跡発掘

6.「東京富士美術館×桑都プロジェクト」

東京富士美術館と桑都プロジェクトのコラボを担当しました、学生S.Yが記事を書かせていただきます。

最初に、なぜ今回東京富士美術館とコラボさせていただいたのかということについて改めて説明いたします。桑都プロジェクトは今年度、八王子に訪れたシュリーマンを梃子に町おこしを行っています。そして現在東京富士美術館で開催されている古代エジプト展の主催であるベルリン国立博物館は、シュリーマンが寄付したコレクションを飾るシュリーマン室を持ち、そこから偶然にも私たち桑都プロジェクトとのつながりが生まれました。

展示の搬入を見学させていただいたり、ベルリン国立博物館の副館長さんにお話を伺ったり、非常に貴重な機会をいただきました。副館長さんにインタビューする際には、事前にいくつか質問事項を考え、日本語で質問しドイツ語で答えていただいたやり取りを大学教授に翻訳していただきながら進めました。インタビューに参加したメンバーにドイツ語が分かる学生はいませんでしたが、事前に簡単な挨拶や感謝の言葉を覚えていき最初にドイツ語で挨拶をしたところ、副館長さんは笑顔で応じてくださいました。

 今回東京富士美術館とコラボしたことがきっかけでエジプト展に訪れた学生もいます。コラボの中で新しい経験をさせていただくことができました。1月16日まで延長された古代エジプト展ですが、桑都プロジェクトの学生がデザインした栞を記念品として置かせていただくので、ぜひ何度でも足を運んでいただければと思います!



コメント

このブログの人気の投稿

ASAメールvol.216 2023年9月16日 だれもがいつでも利用しやすい図書館プロジェクト

ASAメールvol.220 2024年1月16日 最後だとわかっていたなら

ASAメールvol.212 2023年5月16日 第10回八王子一坪パンまつり