ASAメールvol.236 2025年5月16日 フードバンク八王子
「周りに心配な人はいませんか?」という一言から始まるこの記事では、フードバンク八王子の活動を通じて、“食の支援”が“人の支え”につながる現場が描かれています。
寄付された食品に込められた思いを丁寧に届け、孤立する人々に寄り添う。週に一度の「フードカフェ」や生活相談など、食を軸に広がる温かなつながりが紹介されています。読むと、きっと身近な誰かのことを思い出すはずです。
「周りに心配な人はいませんか?」F・K
フードバンクとは、単に食べ物を「渡す」「受け取る」だけの場ではありません。
食べ物を通じて訪れた一人ひとりの声に耳を傾け、時には沈黙を共有する——そんな丁寧な関わりの中で、来所された方々は最後には笑顔で食べ物を持ち帰るのだそうです。
寄付される食品は、まだ商品として店頭に並べられるものや、家庭で十分に食べられるものばかり。それを「困っている誰かの力になりたい」との思いで提供してくださる方たちがいます。
だからこそ、フードバンクのスタッフの皆さんは、そうした企業や個人の善意を真摯に受けとめ、その思いを背負って活動されています。
「食品という物だけでなく、寄付してくれた人の思いを伝えている」——この言葉が特に印象に残りました。
フードバンクを訪れる人々には、さまざまな背景があります。共通しているのは、「困った時に頼れる人がいない」ということ。これは「貧困」の問題だけでなく、「孤立」の問題でもあるのです。
子どもの頃から頼れる人がいなかった人、経済的には困っていなくてもネグレクトなどで孤立している人。実は、こうした「孤立」のほうが深刻な課題になっていると感じました。
フードバンク八王子さんでは、少しでも多くの人とつながろうと、さまざまな活動が行われています。
たとえば、週に一度開かれる「フードカフェ」では、皆で料理を作って一緒に食べる時間があります。そこには子どもから高齢者、シングルマザーなど、さまざまな立場の人たちが集まり、居場所となっています。
また、必要に応じて行政や病院につなぐ「架け橋」の役割も果たしています。
スタッフの方々は、寄付する人・受け取る人だけでなく、まだフードバンクの存在を知らない人や、知っていても一歩が踏み出せない人たちのことも心に留めて活動されています。
実際、フードバンクを訪れるには、大きな勇気が必要です。その一歩が踏み出せずにいる人は多いでしょう。私自身も、取材するまでその存在を知りませんでした。
だからこそ、「この人、少し気になるな」「大丈夫かな」と思う誰かが身近にいるなら、まずは私たちがフードバンクのことを知ること。それが、その人を福祉につなげる一歩になるのではないでしょうか。
人はひとりでは生きていけません。
私たち一人ひとりが、誰かの人生に福祉の手を差し伸べるきっかけになれることを、覚えておきたいと思います。
「食品ロス削減と食料支援」 S.M
みなさんは「フードバンク」という言葉をご存じですか?私は最近まで知りませんでした。
フードバンクとは、安全に食べられるにもかかわらず、包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどの理由で流通に出せない食品を、企業などから寄贈していただき、それを必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動です。
このフードバンクは、貧困問題の解決にも重要な役割を果たしています。特に、生活困窮者やひとり親世帯など、食費の捻出が難しい人々にとって、食料支援は生活の安定に直結する重要な支えとなります。
八王子市では、生活保護基準を下回る収入の世帯も多く、食料支援を受けることで浮いた費用を教育や医療、その他の生活費に充てることができるようになっています。
たとえば「フードバンク八王子」では、食料の提供だけでなく、生活相談や行政制度の案内、借金整理の支援なども行っており、生活再建に向けた包括的なサポートをしています。
また、フードバンクの活動は食品ロスの削減にもつながっています。企業から寄付された賞味期限が近い食品や規格外品を無駄にせず、必要としている人々に届けることで、環境への負荷を軽減し、社会全体の資源を有効活用することにも貢献しているのです。
このように、フードバンクは単なる「食料の提供」にとどまらず、生活の安定や自立支援、環境保護など多方面にわたって貢献し、貧困問題の解決に寄与しています。
今回フードバンクの存在を知り、調べていく中で、個人でも食品を寄贈できることを知りました。これまでは食品ロスを避けるために、無理に食べ切ろうとして消費期限を過ぎてしまい、結局捨ててしまうこともありました。
でもこれからは、期限切れになる前に誰かの役に立てるよう、フードバンクの活動に参加していきたいと思います。
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